2009-06-08

348 売れ残りの方が良いギタ-!?(2) 09-06-2009(火)

 手工ギタ-の木材は最低10年寝かしてから使います。私の経験や知り合いの製作家の意見では必ずしも素材自体の良し悪しではなく、この木材の古さがギタ-の鳴りを一番決定付けます(特に表面板)。木には人間の毛穴と同じく気孔なるものがあり、年数の経過と共に気孔内の樹液が乾燥して音の通り、音質が良くなります。つまり、寝かせば寝かすほど味とコクを増すワインの様なもので(先週のコルムナ)、こうなると経過年数にお金を払うとも言えますし、購入者もそれだけの年数を待たなくても良いメリットもあります。ストラジバリウスのバイオリンやチェロが現在凄い音がしているのも、名工作と言うこともありますが、年月の経過も大いに関係しています。
 従って、一見売れ残りギタ-は、ただ単に出来が悪くて売れ残った場合と、売れ残った分だけ更に音色が熟成している場合の二つの可能性を秘めていると言えます。前者なら拍子抜けですが、後者なら正に残り物に福ありです。
 先生が圧倒的にこちらがいいと選んだ4年前の売れ残りギタ-は正にこの場合に当ります(同344)。

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