2009-03-09

361 スペインで聞く30年後のハバロフスク 10-03-2009(火)

 昨年ウラジオストックとハバロフスクを訪れたと言う日本人旅行者が先週やって来た。筆者は最初スペインに来る際、横浜から船でナホトカに着き、後は総てシベリア鉄道でハバロフスク、イルク-ツク、モスクワとシベリア鉄道で横断し、更に総て鉄道でウィ-ンに抜けて、オ-ストリア、スイス、西ドイツ、フランス経由でバルセロ-ナからスペインに入った。あれから今年でもう30年になる。
 今思えば旧ソ連時代を垣間見れて良かったと思うが、当時外人旅行者は街を歩けば、共産主義で頭も体も幽閉状態だったロシア人からガム(ソ連製は砂糖が少なくまずい)やジ-パンや電卓をせがまれたものだ。筆者もハバロフスク市内でロシア人男性に声を掛けられ、その夜余分に持って来ていた腕時計を安く売ったことがある。外人用のホテルの中でもやたら軍人が目に付いた。人目に付かない様ちょっと離れた所まで行って受け渡したのだが、向こうのつたない英語に拠れば、外人とのこうした取引はご法度だとのこと。
 因みに筆者はこのハバロフスク国鉄駅前で記念すべき海外で初めての買物をしている。10コペイカ(ル-ブルの下の貨幣)のアイスクリ-ムは当時の換算で約33円。4月17日で結構寒かったにも係わらず屋台は大繁盛だった。思想統制下で娯楽のないロシア市民にはこんなものさえ大きな楽しみの一つだったのだろう。
 この日本人旅行者に拠ればそのハバロフスクは現在モダンな都市に生まれ変わり、街には日本の中古車が溢れていると言う。
 これを聞いて筆者は2度行ったが3度目は行きたくもないモロッコの街に旧式ベンツが溢れていたのを思い出した。今はどうか知らないが、スペイン軍にもアメリカ軍の払い下げのジ-プとかかなりあると昔聞いたことがある。

 人の益を計り、良い行いに富み、惜しまずに施し、喜んで分け与えよ。-----或る昔の偉い人

 な~んかこれこそ共産主義の真髄みたいな美辞麗句ですが、美辞麗句の厚化粧の正反対をやってしまったのは共産主義も大東亜共栄圏も同じかも知れません。
 筆者は長男故に次男三男のお下がりの経験はありませんが、例えお下がりでも資本主義社会なら金を払えと言うことになります。まだまだ使える中古車なら廃車にするのはもったいないですが、どうせなら第三世界の連中に売りつけ様・・・。これは資本主義社会では至極当たり前の話。
 『金さえあればこんな苦労はしないのに・・・』とは誰でも思うところですが、それは資本主義的発想のボヤキだとも言えます。筆者は『金(の存在)さえなければこんな苦労はしないのに・・・』と思う方ですが、これはある意味共産主義的発想と言えなくはありません。
 対極の様ですが、本当に人の益を計る気持ちがあれば、それは金銭システムであろうがなかろうが事の本質ではないはずです。
 人間様が自己中で、強欲で、妬み深い以上、世の中が良くなるはずがありません。それが最も顕著に表れるのが各自の金銭に対する扱いかも知れません。
 そう言えば、グラナダ市郊外の農村にウクライナの出稼ぎ労働者がいるとごく最近聞きました。中国同様半資本主義体制のロシア社会もろくなことになってはいないのでしょう。
 

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