2008-07-07

326 栄えあるスペインの新興宗教 08-07-2008(火)

 ご存知の様に先々週サッカ-ユ-ロカップ(欧州選手権)は40何年か振りにスペインが優勝。決勝の試合中街は人も車もまばらとなる現象がスペイン中で起きた。ワ-ルドカップでもオリンピックでも大体ベスト8止まりが多いので、国中がこの快挙に挙国一致体制で沸き返ったことは言うまでもない。
 ところで、筆者はスペインの新興宗教はカトリックとサッカ-だと常々思っている。新興宗教だから教祖様を祭り上げ、金に糸目は付けないどころか何でもやる。とか考えていると、筆者が昔読んだ、ある人の書いた宗教とは何かと言う短いが端的なコメントが思い出されて来た。
 それはご存知てるてる坊主の歌に良く表れていると言う。無邪気にも『てるてる坊主てる坊主~、あ~した天気にしておくれ~♪』と願を掛けた本人が、どうしても願いを聞いてもらおうと『晴れねばそなたの首をちょん切るぞ~♪』と三番の歌詞で鋏をチラつかせて脅迫する!? 結局神が神ではなく、自らの欲望こそが神であり、ご利益がなければあっさり切り捨てられる。
 今回の様に願いがかなえば監督も選手も『ビバ~』と褒めちぎられ英雄扱い。しかし、願いを聞いてくれなければ『帰れ!!』コ-ルに『ボケ、かす、あほんだら!!』と国賊扱い。なるほど、そっくりだ。
 勝ったから良かった様なものだが、嬉しさの余り試合終了後信者達はスペイン中で街に繰り出し器物破損で大祝賀会。器物破損大会がお祝いだと心から思っている人種がこの世には存在するのだ。機動隊も出動して明け方までイタチごっこ。なるほど新興宗教で頭がイカれているので破壊行為はむしろその習性なのだが、マインドコントロ-ル故に罪の自覚はない。従って、後始末は総て各市役所の懐から皆の税金で賄って祝勝会もやっとお開き・・・。

 愚か者が口にする箴言は酔った人が手にして振り上げるいばらの様だ。-----或る昔の偉い人  

 そして、山河有り。一週間後、サッカ-はオフシ-ズンに入ったこともありますが、信者達は二日酔いから醒めた泥酔者の如く茫然自失。巷でもニュ-スでももう話題とはなり得ません。それはもう教祖の過去の栄光なのです。
 ヨ-ロッパのプロスポ-ツを見ていつも思うことなのですが、良く言えば実力至上主義、悪く言えば競技の得点や成績が総てで人間性度外視です。それはあたかも売れば優秀な社員で、売れなきゃリストラ予備軍の如く、一般社会も数字だけで勝ち組負け組みに振り分けられるシステムになっているのと同じです。
 しかし、数字が総てで敗者への一片の思いやりもない社会だからこそ殺伐とします。今から始まる夏の甲子園の様に、敗者への思いやりこそ、実はスポ-ツの本質であり、この精神が社会でも生かされれば、まさか急に路上で刃物を振るったりする気違いの温床もまた根絶されるはずです。数字は記録、思いやりは記憶です。
 ただし、一生懸命やった敗者こそ賛辞を受けるべきであり、頑張ることを厭う人間が負け組みになるのもまた必然です。
 さて、本来このコルムナは先週書くのがタイムリ-だったのでしょうが、筆者は故意に一週間遅らせてみました。どんな歴史的快挙も、人間味がなければやはり感動は一過性で続きません。  

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