2008-05-26

320 スペインのひまわりの花と実(1):再々々放送 27-05-2008(火)

 筆者が観光ガイドの頃ひまわりの開花は六月初旬でしたが、地球温暖化のせいか、近年は五月終盤に咲き始めている様です。
 このひまわりのコルムナは筆者自身のお気に入りでもあり、ひまわりの咲くこの時期、二年に一度再放送することにします(コルムナ9&10&115&116&215&216)。今年で4回目。5回目はあるのでしょうか・・・。

スペインの夏の風物詩と言えばひまわり畑である。日本人なら躊躇なくこれを全部引き抜いてゴルフ場にしてしまいそうな広大な丘陵地にひまわりが栽培される。“ひまわり娘・伊藤咲子”など足元にも及ばない。
 私が初めてひまわり畑を見たのは観光ガイド1年目のこと。初仕事は冬だったのだが、観光バスの運転手によると全く何もない畑にひまわりが咲くのだと言う。なるほど春先になって発芽した小さな芽は小学生の頃家の庭にあったひまわりのそれに似ている様な気もした。そして、遂に6月初旬開花。あたり一面のゴルフ場にひまわりが咲いている光景は想像を絶する。
 ところが、2週間後通って見るとどこか元気のない様子。今日は具合でも悪いのかなと思ったのだが、翌週来て見ると明らかに散りかけていた。そして、完全に枯れた頃首を刈られて種を収穫されるのである。
 鉢植えの花などの固定概念で、どんな花も一度開けば1、2ヶ月は咲いていると私は思い込んでいたのだが、結局ひまわりは春先に種を蒔かれ秋には収穫される半年の命。その美しい盛りは僅か2週間なのである。
 人間ならせいぜいその150倍位かなと毎年この時期思う様になって2、3年。小さな芽を吹き、成長して最盛期を迎え、後は落ちる一方。ぶつぶつ文句を垂れながら容姿体力衰え枯れ果てて死んで行く。ひまわりの命はそのまま人の一生の縮図かも知れません。


 すべての人は草、その栄光はみな野の花の様だ。-----或る昔の偉い人

 ひまわり畑の目的は花ではなく、実は花が枯れてから熟成する種(油を採る)の『収穫』にあるのです。
虎は死して皮を残す。ひまわりは花は散るが油を残す。貴方は何を残すのでしょうか。(この項続く)

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