2008-01-14

301 トルコ首相もアルハンブラの想い出 15-01-2008(火)

 一昨日トルコの首相がアルハンブラ宮殿にやって来た。もっとも、著名人の来訪は頻繁ではないが珍しくもなく、その昔にはビン・ラデンや先日暗殺されたパキスタンのブット元首相、最近ではクリントン元大統領にゴルバチョフ元ソ連書記長も観光に来たことがある。
 そこで昨日の地元紙の見出しは『グラナダは文化融合の大いなる規範である』との首相の談話。読者にはピンと来ないかも知れないが、これはかつてグラナダにはイスラム時代(711?~1492)にアラブ人、ユダヤ人、スペイン人、そして、イスラム教、ユダヤ教、カトリックの3民族3宗教が共存共栄していた(かどうかは疑問だが)こと、また、現在も市内に点在するイスラム系移民の集うモスク(イスラム寺院)のことを指したものだろう。
 アルハンブラ宮殿内の有名なライオンの中庭(現在修復中)のライオン12頭は当時グラナダのユダヤ人共同体が作ってアラブの王に献上した物。12とはユダヤ民族12部族を表す。つまり、当時の歴代アラブの王達はフセインの先祖にも係わらずユダヤ人をむやみやたら迫害したりせず、高官に登用さえしている。商売上手なユダヤ人がいなくなれば国の損失であることを十分知っていたのである。なるほど確かにその意味では文化融合の大いなる規範だとも言えるのかも知れない。
 このユダヤ人を惜しげもなく根こそぎにしたのが1492年1月2日アルハンブラ宮殿を無血入城で陥れてスペインを初めて国家統一したフェルナンドとイサベルのカトリック両王。戦勝の勢いでその3ヵ月後の3月31日ユダヤ人追放令を発布。おまけに魔女狩り(元々ロ-マカトリックがユダヤ人虐めのために始めた)で追い討ちをかけ、追放殺害する前にもちろん財産没収。この金でイサべル女王から資金援助を受けたコロンブスは半年後の10月12日初めてカリブの島々を発見する。元々地球が丸ければ西回りでインドに行って香料貿易で一山当て様との動機だったコロンブスはイサベル女王に原住民を奴隷売買しようと持ちかけている。
 そして、このユダヤ人追放令こそその後現在に至るまでのスペイン経済にとって致命傷になったと言っても過言ではない。ユダヤ人を優遇すれば国が栄え、迫害すれば廃れるのは世界史の常識。もし、読者がスペイン中部南部を旅行すれば延々と続くオリ-ブ畑に圧倒される反面、工場らしきものが殆ど皆無であることにも気付くことだろう。その遠因はユダヤ人を追放したからだと筆者は確信している。それが証拠にユダヤ人を残したバレンシア&カタル-ニャ(州都バルセロ-ナ)地方には今も少しだが重工業が存在する。

 愛と謙遜こそ総ての道徳の内最も麗しく、最も大いなるものである。いかなる儀式、いかなる信条、いかなる教理、いかなる思想も愛なくしては無益である。-----或る昔の偉い人 
 
 そして、いかなる政治も・・・。ユダヤ人を登用した昔のアラブの王様も今日告示された3月9日の総選挙のスペインの政治家も、単に政治的経済的措置を取るだけでその根底に愛がないなら目先の経済効果や社会システムが良くはなっても最終的に国は良くなるはずもありません。それが証拠に早くも始まった舌戦でもテ-マは去年後半に始まった物価の高騰抑制と国民の購買力維持や年金をダシに与党は野党を、野党は与党をけなすだけ。もっとも、選挙演説に愛もへったくれもないのでしょうが、政党が変わり、政治が変われば社会が向上すると本気で思っているとすればそれは愛も知恵もない話です。
 いや、本心は出来るものならライバル政党をけなしまくってぐうの音も出ないほどにやり込めてやろうと言う意気込みさえプ~ンと臭って来るのですから、これは愛どころかむしろユダヤ人の家財没収して追放殺害した精神の方に遥かに近いと言えます。無益に終わらなければいいのですが・・・。
 スペインは年明け早々殺人強盗ラッシュです。日本も同じか!? 愛がないんじゃないのか?

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