2007-12-25

298  恐怖の銭ゲバクリスマス 25-12-2007 (火)

 本日12月25日はクリスマス・・・ケ-キの安くなる日!? 日本人もクリスマスの認識程度は情けないほど低いが、スペイン人も負けてはいない。
 まず、待ち切れないとばかりに先週22日土曜日クリスマスドリ-ムジャンボ宝くじの抽選は朝から各局実況生中継。その2日ほど前どこかで一枚買った日本人旅行者の二人連れ曰く『2.2ユ-ロかと思ったら22ユ-ロ(3660円)だったのでびっくりした』とのこと。これは当たる額ではなく一枚買うのにかかる金額。ハイリスクハイリタ-ンのスペイン人にすればこんな額でビビる日本人は人間の器が小さいとしか言い様がない。しかも、宝くじに総てを賭けるスペイン人が一枚で我慢出来るはずもなく、ことグラナダ県民に関して言えば、今回平均一人当たり66ユ-ロ(11000円)買ったとのこと。これは幼児から老人まで総て含めた統計なので実際は各自もっととんでもない金額を使ったことになる。それもこれも一等300万ユ-ロ(4億9千200万円)に挙国一致体制の如く目が眩んだ連中ばかり。人間の器が大きいか守銭奴かのどちらかだろう。
 そして、正午のニュ-スも宝くじ抽選一色。筆者は時計を見ていたのだが、50分のニュ-スの内宝くじ関係が40分!? どう言うニュ-スだ!?
 株も宝くじも実際は誰も何も生産しないマネ-ゲ-ムなのだから国家や社会が豊かになるはずがない。そして、圧倒的大多数は宝くじの夢破れて山河有り・・・。
 いや、日本は明日からちゃっかり宗旨替えだが、スペインの欲望クリスマスはまだ始まったばかり。1月6日まで延々と続く。多くの市民は宝くじに当たらなかった腹いせに大量消費で憂さ晴らし。24日イブの夕食は贅沢の限りを尽くし、食材は総て便乗値上げ。そして、クリスマスプレゼントを交換しまくり、子供に贈るおもちゃには近所の手前親の威信がかかっている。日本人にはちょっと想像が付かないが、このクリスマスプレゼントの交換は老若男女を問わず果たさねばならない義務の如き強迫観念さえ覚えるほどの一大社会現象と言っても良い。
 そして、国もこんなボロ儲けを一回だけで止める筈もなく、今週末の年末年始のバカ騒ぎに加えて年明け早々クリスマスドリ-ムジャンボ宝くじ第二弾。懲りない国民もまた“今度はもしかしたら・・・”とまた大挙して国に金を奉献奉って思う壺。

 知恵の正しいことはその行いが証明する。-----或る昔の偉い人

 ところで、一体誰がキリスト様の誕生日をお祝いしているのじゃ!? 結局お祝いどころかキリスト様を利用しまくって自らの欲望の墓を建てているだけの話(コルムナ139&140)。こんなバチ当たりな話もありません。
 結局我々はクリスマスに限らずハメルンの笛吹きの如く消費経済社会に踊らされて、溺れて、その藻くずとなってはいないでしょうか? 踊らされているかいないか。それはその行いが証明します。
 今年下半期は来年の不動産バブル崩壊と急激な生活必需品の物価上昇の予言めいたニュ-スがかなり見受けられました。正しい知恵で行動した人だけがその恩恵に与るのは万国共通項。その正念場は乱痴気クリスマスの酔いから醒めた来年年明けからです。

273 歌心でia&maも独立性 25-12-2007(火)

 しばらくimのスケ-ルにおける右手各指の独立性を見て来ました。今週はおまけにia&maのスケ-ルです。誰でもmaは動きが鈍く、iaなら練習すればかなりの速度は付きますが音量でimに劣ります。ですから、通常スケ-ルはimだと言えますが、プロでもiaの方が得意なギタリストもいる様です。
 理屈はimと同じですのでコルムナ266~272を読み返して下さい。今週は少し別の観点からia&maをダシにメインテ-マである右手各指の独立性についてコルムナしてみましょう。
 まずはいつもコルムナに引用する様に歌心がぶれないことですが、歌心がぶれないとは別の角度から言えば歌心だけに専念して余計なことを考えないと言うことでもあります。余計なことを考えればそこに歌心のエア-ポケットが空き、歌心がぶれ指もぶれ独立性を失うからです。それではこの場合この歌心モ-ドを妨げる余計なこととは何でしょうか?
 今度はimではなくmaだからどうしよう、もうすぐiaの箇所が来る・・・と身構えることです。この様に歌心ではなく指を意識するから歌心がぶれ指もぶれて独立性を失います。こうなると指ではなく意識をどこに置くかの問題です。
 ここはスケ-ルだからアポヤンド、次はアルペジオだからアルアイレ・・・。この様に頭の中で一々区分けを作るから歌心もその都度途切れます。どんなテクニックの時でもその都度意識のモ-ド変換をしないで一つの歌心モ-ドを保ってみましょう。
 ia&maのスケ-ルも同じこと。imと同じ感触で色気のある実曲のスケ-ルを歌心をぶらさずに弾いてみましょう。それでもia&maの方がうまく行かないのは当たり前ですが、歌心故にimのスケ-ルがぶれなければ、同様の歌心モ-ドで弾く限りia&maのスケールもまた連れられてぶれず、健全な歌心故に健全な独立性が養われて来ます。
 来年もまた宜しくお付き合い下さい。

2007-12-18

297 遂に御用 18-12-2007(火)

 やはりと言うか何と言うか、こんな予感は大いにしてはいたが、まさか3年もの時間がかかるとは思わなかった。
 昔からの読者は記憶にあるかも知れないが、コルムナ139&140&148でご紹介した生ハム詐欺高飛び男が先週水曜日遂に御用となった。トンズラ先のドミニカ共和国の滞在先のホテルから昼飯を食べ様と出たところを職務質問され不法滞在で捕まったとのことだが、実際はスペイン警察から情報提供された地元警察が動いたとのこと。スペイン警察も確かに末端はどう仕様もないが(同284)、今回の事件に限らず、この手の社会的に大きな関心を集める事件の報道番組など見ればスペイン警察のエリ-トはFBI顔負けの捜査であることが分かる。
 しかし、地元紙の報道によれば懲役何年ぶち込まれ様が肝心の金が返って来る見込みはないので被害者達は一応に諦めム-ドらしい。本人は既に地元グラナダ市郊外の刑務所に入っている。

 我が子よ。蜜を食べよ。それは美味しい。知恵もあなたの魂にとってはそうだと知れ。それを見つけると良い終わりがあり、あなたの望みは絶たれることはない。-----或る昔の偉い人

 蜜を食べたはずが苦よもぎの如く魂に苦く、望みは絶たれ悪い終わりに至ったとすれば、それは綺麗な花を見て虫食い植物に喜んで飛び込む虫の様なもの。この場合確かに加害者も被害者も哀れには違いありませんが、金銭物品に価値観を置く以上とても知恵ある行動とは言えません。
 それにしても生ハムファンドに不動産ファンド(先週のコルムナ)。そう言えば切手ファンドに真珠ファンドなんちゅうのもありました(同214)。理屈はみな同じ。餅は餅屋。靴は靴屋(スペイン語の同様の言い回し)。ファンドが付くとろくなことがないのは万国共通。とても知恵の同義語とは思えません。

272 歌心がときめけばスケ-ルもときめく右手各指の独立性 18-12-2007(火)

 右手各指の独立性をまずはimのスケ-ルからコルムナして来ました(コルムナ266~270)。総括です。
アルアイレよりアポヤンド(同267)。そして、スタッカ-ト気味のアポヤンドほど効果的です(同268~270)。いずれも力ではなくスタッカ-ト(アクセント)の勢いでビシッと決めます。こう言うタッチの時こそ軸もまたぶれないものです。逆に、力に頼った演奏ほど右手も左手も軸がぶれて来ます。余計な力が入った時点でこのところのテ-マである各指の独立性もその力みに比例して失われて行くと言えます。
 そして、更に力を使わないために4回に1回しか弾かないこと(先々週のコルムナ)!? この時は便宜上ハ長調の音階を使いましたが、人生色気があればあるほど心もときめくものでしょう? 歌心がときめかなければ指もときめきません。色気のない音階よりも色気のある実際の曲のスケ-ルを抜き出してやってみましょう。これだけでも随分ときめきが違います。とにかく歌心度外視で指だけの肉体反復練習と言うのは小説家がアイデア度外視でペンを持って習字の練習をする様なもの。色気もときめきもなければ演奏の軸も指もぶれて来る方がむしろ当たり前です。
 ときめくのが恥ずかしい!? 日本人はそんな国民性かも知れませが、そんなに恥ずかしければ4回に1回だけ強弱弱弱とときめいてみましょう。あと3回のアポヤンドはときめいた一拍目の勢いで勝手に付いて来させりゃいいんです。ワルツなら強弱弱と同じことです。
 歌心がときめけばときめくほどにスケ-ルもときめき、imもその独立性を増して来ます。
 来週はia&maの場合もみてみましょう。

2007-12-10

296 手際の良さは店閉い 11-12-2007(火)

 やはりと言うか何と言うか、こんな予感は大いにしてはいたが、まさかこんなに早くとは思わなかった。先々週フラメンコの送りに行ったら、不動産ファンドの手先になったはずの元ガイドの知り合いが元の鞘に納まってまたガイドになってやって来た(コルムナ289)。その時は時間もなく『また、ゆっくり聞かせてくれや』とか言って別れたが、一昨日日曜日には不動産屋自体が店閉い引越しの真っ最中。夜フラメンコの送りの後夕食から帰ってみるとガラス越しの店内には既に何もなく、看板も取り外された後だった。
 今年の下半期は不動産が頭打ちで店閉いが相次ぎ、不動産価格も徐々に下がって来るだろうとのニュ-スや新聞記事が目を引く。そうなると当然消費者も待つので、ますます市場はダブつく悪循環。後はお決まりの電車道で下り坂を加速度的に一直線。業界や政府がどんなブレ-キを掛けるか見物だが、高嶺に登り詰めた加速度はそう簡単には手に負えないはずだ。

 富を得ようと苦労してはならない。自分の悟りによってこれを止めよ。-----或る昔の偉い人

 苦労せず富を得ようとした奴らばかりなのでこれはちょっと語弊がありますが、金が価値観の人間ほどハイリスクハイリタ-ンに魅せられて首を突っ込んで首が回らなくなるのでしょう。筆者も学生時代嫌と言うほどパチンコをやったので気持ちは分かります。スペインに来たから止められた様なもので、来ていなかったらどうなっていたかと思えばゾッとします。
 大体死んだら一銭も持って行けないことを知らない連中が世の中多過ぎます。多くの人がこれに気付けば世の中から多くの悪事もまた消え失せるでしょう・・・が、気付きたくもないので今後もますます多くの悪事が加速度的に世の中を席巻して行くことでしょう。悟りによって止めればいいのですが・・・。
 今週はスペインギタ-週間コルムナ271もご覧下さい。

271 歌心なき中国製スペインギタ- 11-12-2007(火)

 筆者は大体毎日お昼が自炊で夜が外食。毎回脂っこいスペイン料理では寿命を縮めるだけだからです。そして、週3日は中華料理屋で夕食です。
 たまにスペイン料理に飽きた日本人旅行者を回していることもあり、ここの中国人の奥さんがいつもス-プや餃子を無料でサ-ビスしてくれます。そこでたまには何か日本の物をお返しにと思い立ち、先日ちょうど日本の実家から小包みを送ってもらう予定があったので、ついでに日本のザ-サイを買ってもらい一緒に送ってもらうことにしました。
 先日やっと着いたと思ったら、四川ザ-サイと日本語の表記ですが原産国中国!? これじゃあ日本の味のお返しにはなりません。ガックシ・・・。さすがは世界の安売り工場中国。一本取られましたが、そう言えばもう20年位前グラナダ市内の知り合いが友人に何かプレゼントを買ったらMade in Japanだったことがあり、皆で笑ったことを思い出します。
 そして、今週はこのザ-サイで思い出した笑いながらも顔が引き攣る現在進行形のスペイン中国友好漫才。何と現在多くのスペインギタ-メ-カ-が中国から丸ごと中国製ギタ-を仕入れて自社製として販売しているのです。本物はラベルだけ!? 日本で有名なスペインのギタ-メ-カ-(複数)もそうです。バカ負けです。今のところ安いシリ-ズだけなのでしょうが、利潤追求第一主義に毒されている以上今後何を中国に委託製作しても不思議ではありません。スペインでは原産国表示もへったくれもありませんし、もちろんスペインギタ-として販売されます。これらがどの程度日本に入って来ているのかは知りませんが・・・。
 ザ-サイなら元々中国のものですが、中国製スペインギタ-とは世も末です。まるでハンドバックや衣類のブランド会社が第三世界で安く作らせてバカ高く売るのと同じではありませんか。
 こうなるとギタ-以前の人間としての問題です。歌心のあるギタ-メ-カ-ならこんなことはしないはずです。悪魔に魂を売ったんじゃないのか!?
 先週の続きはまた来週。 

2007-12-03

295 祝合併新会社誕生 04-12-2007(火)

 筆者はたまに旅行者の依頼で列車やバスの切符を買いに行く。そこで、先日グラナダ市郊外のバスタ-ミナルへ行っていつものバス会社の窓口で切符を買ったはいいが、別会社のロゴが入っていたので驚いた。いや、全く別会社の全く違う切符に元会社の名前が小さく印刷されていたと言った方が当たっている。聞けばごく最近合併したとのこと。この会社名の印字の大きさからすれば、どう見ても対等合併ではない。観光ガイド時代から、いや、1979年最初にスペインに来た時から見慣れた切符がある日突然なくなると言うのも寂しいものだ。何より時代の流れを感じる。
 今日良くも悪くも合併吸収は日本やスペインだけでなく世界の流れ。良く言えば合併に拠る合理化で見た目のサ-ビスは向上するだろうが、悪く言えばますます個人商店は立ち行かなくなる。そうなれば街からは個性が消え、全国どこに行っても同じ様な商店街になる。これがいいか悪いかはともかく、根が一匹狼の筆者としては面白くない。例えば、たまに日本に帰って、どこに行ってもつくづくコンビニの多さに閉口する。特に田舎では街の景観さえ損なっている。皆が大挙して同じことをやるなら自分は意地でも個性を前面に押し出そうと思う人間はいないのだろうか? そう思わないこと自体筆者には不思議で仕方がない。大体夜は寝るためのものだろう。その点スペインの地方都市ではまだこのコンビニ現象が見られないのはある種の救いかも知れない。

 あなたの宝のあるところにあなたの心もあるからです。-----或る昔の偉い人

 しかし、この合併吸収傾向は今後世界中で加速度的に進み、世の中ますますありとあらゆる商品に溢れる反面、企業体系的にはますます簡略化されて行くでしょう。それは例えば街の銀行の数は昔と変わらないが銀行名は減った今日の金融業界を見れば分かります。そして、最後はこのピラミッドの頂点を鶏の首の如くクッと握った奴が世界を支配する・・・。ごく限られた小数の頭のいい連中がそんな世界戦略を実行していて、もしかするとピラミッドの最下層である我々消費者は既にマリオネットの如く踊らされているのかも知れません。例えば、今年下半期の世界的な原油と生活必需品の高騰もそんな臭いがします。
 合理化自体は大いに結構ですが、首をクッと絞められては堪りません。金や物が宝であることを辞めれば首も心も簡単に開放されるのではありませんか?  

270 右手各指の独立性は歌心のスタッカ-ト 04-12-2007(火)

 スタッカ-ト気味に一音弾いたら十分休んで筋肉や筋の緊張がなくなってから次を弾くことも心がけましょう(コルムナ267)。最小限の力で最大の音を出すためにはとにかく最小限の力で弾くことです。
 それでは今週はもっと最小限の力でスケ-ルを弾いて右手各指の独立性に磨きをかけてみましょう。分かり易くするためにハ長調の音階の往復『ドレミファソラシドドシラソファミレド』を用います。これをスタッカ-ト気味に弾くと『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド』ですね。指の力ではなくスタッカ-トの勢いで弾くこと、そして、各音を弾いた後十分休むことを心がけて下さい。音楽なら魂は大いに入れた方がいいですが、力は抜くに越したことはないからです(同10)。
 そして、今週はもっと休みます。4音毎にアクセントを付けて『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド』。太字の4音だけ意識して、その惰性で残り3音は休みながら弾きます。意識の中で弾くのは太字だけですが、残り3音もスタッカ-トします。強弱弱弱ですが、強は強なりに、弱は弱なりにスタッカートします。強のスタッカ-トの勢いで弱にもスタッカ-トしてもらうと言う訳です。
 コツは“私が弾く”ではなく“指に~してもらう”、つまり、ギタ-演奏はこと指に関して言えばどこまで行っても“私が弾く”ではなく“いかに指を騙して指に弾いてもらうか”です。騙し方と独立性のコツはこの場合アクセントとスタッカ-トだと言うことですね。
 マヌエル・カ-ノ先生は良くスケ-ルにはアクセントを付けろと教えていました。こう言うことだと私は解釈しています。