2007-10-02

286 お先真っ黒スペインの学生白書 02-10-2007(火)

 アナウンサ-は『久し振りに明るい話題です』とは言わなかったが、明らかに悪い知らせではなく、良い兆しとして紹介された先週のスペインのニュ-スに拠れば、ここ13年間で初めて学生達の酒&麻薬の消費量が減少したそうである。もっと詳しく言えば、麻薬とはハシシュ(モロッコ産)、コカイン、ヘロイン、合成麻薬で、アルコ-ルも含めて、これら総てにおいて減少傾向に転じたのは政府の絶え間ないキャンペ-ンの効果だそうである。
 ま、確かにそう言う当局の努力もあったのだろうが、ところで、スペイン語で学生はestudianteと言い、ご覧の様に英語と良く似ている。今回ニュ-スの対象となったのはこれらスペインの学生なのだが、実はスペイン語で大学生はuniversitarioと言い、つまり、スペイン語でestudianteとは大学生未満の学生を指すことばなのである。そこで今回のニュ-スを日本人読者に分かり易く解説すれば、スペインでは相当数の14~18歳の中高生が堂々と酒を飲み、ハシシュ、コカイン、ヘロイン、合成麻薬を吸っていることになる。これが減少傾向に転じたのは政府が校門やディスコでの薬の売人の取締りや未成年者への酒の販売禁止を強化したためだそうである。
 大学生以上の20代、30代の若者ならまだ話は分かるが、今回のニュ-スでははっきりと14~18歳の学生と言及されている。もちろん男女の区別はない。もちろん、こんなガキどもがそんな金を持っているはずもないが、アル中に薬中ともなれば当然パパやママからもらったお小遣いでは足らなくなる。と言ってこの世界にズボっとハマってしまえば急に止める訳にもいかない。あとはもう自らも薬の売人になるか、売春しかないと相場は決まっている。二十歳で廃人がうじゃうじゃいても不思議はない社会的下地は既にガチガチに塗り固められている。
 日本人から見れば末期ガン漫才かも知れないが、これがスペインの現実なのである。

 人が若い時にくびきを負うのは良い。-----或る昔の偉い人

 これはいわゆる日本語の諺で言う“若い時の苦労は買ってでもしろ”と言う意味のくびきのことでしょう。ま、極めて残念ながら、今の日本の若い親達もそうでしょうが、スペインでも可愛いうちの息子にくびきなんかとんでもないと言う、結局我が子を激しく害するに終わる、何でも買い与えて叱ることを知らない様な甘いしつけの馬鹿な親が多過ぎます。例えば、読者もスペインを旅行すれば一目瞭然なのですが、この国ではレストランや食堂で相当数の両親が可愛いはずの自らの乳飲み子や幼児の傍らでモクモクと、さも美味しそうに煙草を臆面もなくプア~っとふかしまくっているのはもはやこの国の年中風物詩です。なるほど、毒を毒と思わず、むしろこんな美味いものが息子の害になる訳がないとさえ思っていれば当然の習性かも知れませんが、やはり害毒を害毒とも思っていないのなら、大きくなった可愛い14~18歳の我が子をくびきで繋がず、無防備にも夜の悪徳歓楽街に野放しにしても何の罪悪感もないのでしょう。
 しかし、毒は毒。毒を飲んで、しかも、好んでがぶ飲みして健康でいられる人はいません。死に至るくびきを自ら好んで自らの首にがっちりハメるだけです。首が回らない借金地獄の方がまだコカインやヘロインよりましです。
 それにしても中高生からコカインにヘロイン・・・。正に気違い予備軍です。それが証拠に先週地元グラナダ市で初めて市主催で女性同士の結婚式があたかも自由平等博愛の代名詞の如く行われました!? この点日本はまだましでしょうが、一つ気がかりなのは“美しい日本”が早くも頓挫してしまったことです。短い命でした。学生が、そして、若者が正しいくびきを負うことを学ばずして“美しい日本”もまた真にあり得ないのかも知れません。